鍼には独特のズンとくるひびき感を感じる時があります。この得気《とっき》と呼ばれる感覚は鍼の感覚を脳まで伝える神経の性質によるものと科学的にも判明しています。
痛みを伝える神経には2種類あります。一つは『鋭く速い痛みを伝える細い神経』、もう一つは『鈍く重い痛みを伝える太い神経』です。鍼治療をすることで刺激されるのは後者の鈍く重い痛みを伝える神経です。
この鈍く重い、痛み(痛みというよりも重さが勝る感覚)は『鋭く速い痛みの神経』よりも脳に認識されやすいので、鋭い痛みを打ち消すことが出来ます。鍼で痛みが和らぐのはこういった理由から起きると言われています。
もちろんズンとくる重い感覚も嫌がる人は嫌がります。ただその感覚は鍼がしっかり身体に作用していることの目安にもなるので悪いことばかりではないのです。このように書いてしまうとズンと来る感覚がないと鍼が作用していないんじゃないの?と心配に思う人がいるかもしれません。しかし、ひびき感がなくても鍼は体に作用していますし、ひびき感が自然治癒力を高めているかと言うと必ずしもそうではありません。ひびき感を感じやすい人とそうでない人がいるだけに過ぎないのです。
また、当院の施術はひびき感をそれほど感じないくらいの優しい刺激で行うことがほとんどです。必要な部分に適切な量の刺激をしていきます。鍼を受けたことがない方は「怖い」や「不安」が大きいとは思いますが、小さなお子さんでも受けられるくらいの施術です。どうか安心してお受け頂けると幸いです。